人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2012年10月13日のメインイベント

10月13日土曜日 今年も札幌市西区五天山公園で「子供と作ろう種から育てる未来の森」の実践セミナーが開かれました。この活動は砕石所跡地という表土が薄く荒廃した土地で自然再生を目指すプロジェクトです。
今回の植樹予定地は特に表土が薄く、スコップではほとんど掘ることができぬことが判明し。開催直前に急きょバールと剣先で地面に100箇所の植樹できる穴をあけることになりました。岡村教授、事務局長の柴田さん、そして私とスタッフの高田の4人で汗だくで掘り返しました。写真は柴田事務長と高田
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_23232673.jpg

2012年10月13日のメインイベント_b0250920_2314993.jpg
現地は実際これまで何度か植樹が試されましたが表土も薄く痩せていて期待した結果があられませんでした。現状はニセアカシヤやアメリカオニアザミなどの外来種がはびこる荒廃した状況です。
 五天山公園の展望台周辺で私たちは札幌市のご理解を得て自然再生活動をスタートしました。2009年10月に岡村俊邦道工大教授の指導によりこのプロジェクトを始めて今年でやっと4年目になります。10年以上、できればずっと継続していきたいと思っております。
一般的な植樹祭とは違い森林のメカニズムを理解し、自生種の採取、苗つくり、植樹がフィールドワークのなかですべて行います。もともと自然林の再生は伐採された山を放置すると周辺の自然林からの種子が飛来し新たな自然林が再生されます。しかし都市周辺の森はこの五天山公園のように放置すると侵略性の高い外来種の森になってしまいます。そこで最小限の人為的行為で自然林にきわめて近い森作りを目指します。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_22594977.jpg

まずは自然林と自然再生予定地の間の歩道で参加者に森つくりの主旨を説明する岡村教授
オオムラサキという蝶の話を例にあげて生物多様性の必要さを小さな子供でもわかる説明をします。
「オオムラサキはエゾエノキという木の葉だけを食べて生き延びることができる。ほかの蝶はほかの木の葉をそれぞれ食べて生き延びる。針葉樹の単層林では蝶は生きていけない。」
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_23133858.jpg

すべての生物はこの多様性に富む環境の中で共存することができます。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_23171544.jpg

まずは植樹のスタートです。今回は五天山周辺の山で採ったミズナラ(どんぐり)のポット苗10個、話題のエゾエノキなど札幌の森で採取した種子から作った苗8種類の樹木、合計100本を10個のユニットに分けます。そして35名の参加者が10グループに分かれ、れぞれ10ポット植えます。植樹後は各グループが責任を持ってどの位置にどの木を植えたか正確に記録していきます。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_23502214.jpg

まずは教授がお手本をみせます。興味深々のまだ年少さんのN君。自宅の庭つくりに応用しようと参加の女性。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_2353054.jpg

初参加のKさんがお子さんととても熱心に植えてます。常連のOさん、お子さんがずいぶん大きくなりました。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_23552673.jpg

常連のI君はとうとう社会人一年目で有料参加に戸惑い。能力開発大学校 I 教授の教え子たちです。これからゼミの必修にすると教授は張り切っています。
植樹が終わりそれぞれ誰がどの木を植えたか詳細に記録します。そこで教授が一言
「私の話をちゃんと聞いていたかどうかが数年後結果で分かります。」

 一服の暇もなく継は種子採集に移ります。自然再生現場の脇にある自然林に移り種子採集を始めます。今年は10月に入っても例年に比べ気温が高くイタヤカエデの種子などがまだなっていません。まず真っ先に見つけたのがイヌエンジュの種子。問題のニセアカシヤと同じマメ科の植物。ただし北海道の自生種で大きな違いはニセアカシヤには枝や幹に鋭いとげが特徴です。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_0205450.jpg

その後品の木の種子を採取し最後はドングル拾いを行って今回の種子採集を終了。
開場を管理棟に移し、採取した種子を使って苗床を作ります。まずイヌエンジュの種子の皮をむき中から種を取り出す。それを苗床に移します。さらっと種を撒きその上から薄く土をかぶせ、砂利をさらりと敷き詰めます。
シナノキはプロペラの付いた黄土色の種子が特徴。簡単に種がとれそのまま苗床に撒ます。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_9132734.jpg

苗床について。土の成分は大まかに火山灰と軽石がほとんどで腐葉土が2割程度しか入っていません。苗をできるだけ厳しい状況で育てることにより、自然界に戻した時に苗床よりは良い環境になるように育てます。市販の苗や庭木はその多くが栄養分の豊富な土で育てられます。成長がとても速いのですが庭や公園に移植されたとき、土に養分が足りないと根を広げることができず弱り、枯れていきます。写真は我々の再生計画地に以前植えられた樹木。痩せた過酷な土地にいきなり大きな樹木を植えた典型的な結果です。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_927012.jpg

10月13日土曜日 朝9時から12時までの3時間で無事予定の活動を終了することができました。雨という予報のなかの開催でしたが快晴に恵まれ、参加者の積極的な活動のおかげで無事「子供と作ろう種から育てる未来の森2012」を終了することができました。自然林再生の先端をいくプロジェクトでありながら小さな子供から関心を持って参加できる取り組みだと思っております。
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_9431785.jpg
写真はミズナラの種子(どんぐり)でポット苗を作る子供たち
2012年10月13日のメインイベント_b0250920_9364986.jpg

これまで4回の再生の状況、今後のプランなど極力この場で公開していきたいと思います。
by kodomo_mirai | 2012-10-14 00:26


<< 石狩川河川敷の自然再生 子どもと作ろう種から育てる未来の森 >>